町長日記2018年11月28日(全国町村長大会出席とNHK大河ドラマ要望活動)
今日は朝から東京へ向いました。渋谷のNHKホールで、全国町村会が開かれるのです。この催しは、セレモニーとしての性格が強いので、特に会場で与えられる責務はないのですが、政治家や学者の皆さんが寄せる挨拶の中に、面白い話が混じっていることがよくあります。
今回、注目したのは、東京大学名誉教授の大森弥(わたる)氏が、高齢化の更なる進行で困るのは東京など大都市で、町村は元気で自立の気風に富んだ高齢者が多いので、困らないだろう、というお話をしておられたことです。これは、先般参加したセミナーでの、岡山県真庭市・北海道乙部町の首長さん方と同じご意見でした。わたくしども一宮町を振り返ってみれば、九十九会の皆様はスポーツ大会17連覇ですし、文化活動も大変旺盛に展開して下さっておられます。その力強さには驚嘆するしかありません。こうしたエネルギー・熱気にあふれた高齢者の方が多い町には、確かに高齢化がさらに進んでも、現在以上に負担が増大するというものでもないかと思います。
町村には農業を基幹産業とするところも多いので、農産物の貿易協定に対する警戒感がスローガンに見られましたし、山林を有するところが多いからでしょう、森林環境税に対する前向きの姿勢もはっきりしていました。あと、ゴルフ場利用税の堅持なども、垂れ幕に大きく記されていました。
その後、大多喜町長のお供で、NHKの方へ大河ドラマの題材として、大多喜城主であった徳川四天王のひとり、本多忠勝の事跡をとりあげてほしいという陳情に伺いました。日本中から同じようなお願いがたくさん来ているということで、果たして結果はどうでるか、今のところではわかりません。ただ、今回は、大多喜町長・勝浦市長に加えて、長生郡の首長6人が勢ぞろいしてお願いに上がったので、大多喜町の飯島町長のお話では、悪くはなかったのではないか、ということでした。
ご対応頂いたNHKの方のお話では、一緒にメキシコ大使館の書記官が見えていたのですが、そうした外国のお立場ある方を帯同したのは大多喜町が初めてだ、ということでした。また長生村の小高村長がご挨拶で仰った、「オリンピックに際してのおもてなし」という観点も魅力的ですね、と仰っていました。対応は大変友好的・紳士的でした。
飯島町長は、一宮には大河ドラマに適した題材はないの、とわたくしに尋ねてくださいました。あとで考えてみると、加納久宜氏とご子息の久朗氏のお二人の事跡などは、地域を再建し増進するという、現在日本の大きな課題である地方創生の文脈に大変フィットするもので、描き方によっては、かなりメッセージ性をもった連続ドラマになるのではないかと思います。加納久宜氏が、もとの一宮藩主から、西南戦争で荒廃した鹿児島県の知事になり、復興に尽力されたこと、更に晩年、農林大臣の職をけって、旧領一宮町の町長を務められ、町を一躍模範町村の地位に上らしめたことなど、地方・地域をおこしてゆくという重要な課題において大きな功績を残しておられる様は、かなり優れたテーマとなりうるでしょう。また、久朗氏が、戦後日本住宅公団初代総裁として、高度経済成長に向けて、国民への優良住宅の提供の事業の先頭に立たれたこと、東京湾横断道路などの奇抜なアイディアを引っ提げて、千葉県の知事に挑戦され、勝利を収められたものの、111日で志半ばに病を得て挫折されたこと、なども、地方の振興という文脈でその奮闘を描き出すと、魅力的なドラマになるのではないかと思います。大河ドラマ1年分というと、大分長いのでエピソードが足りるか不安な面もありますが、半年分のドラマなら、十分可能ではないかと思います。
ただ、現在は大多喜町の支援部隊の一員ですから、まずはその企画の帰趨を見守りたいと考えます。