町長日記2018年7月4日(全国防災・危機管理トップセミナーに出席)
今日は、東京の全国町村会館で開かれた全国防災・危機管理トップセミナーに出席しました。昨年の九州北部豪雨で甚大な被害を受けた東峰村の村長さんがみえて当時のことをお話しくださいました。
東峰村の付近に高い山塊があって、そこに西から移動してくる暖かく湿った分厚い雲があたり、一時間に80ミリといったはげしい雨が降ったということです。そのはげしい雨で、手入れのされていない山林の土壌が流れ出し、大量の樹木とともに、土石流として下流におしよせたということです。そこで、河水沿いの集落がはげしい破壊にさらされたのです。村長のお話によると、根本的な問題は、山林の手入れをする人がいなくなり、杉林が放置された状態であることのようです。手入れされた山林でも、土砂の流出はみられたようですが、より小規模だそうです。この問題は、村長も仰っておられましたが、過疎で苦しんでいる地域にとって、解決は容易でないところです。山林作業は恐ろしく時間も人手もかかるものですが、そもそも従事する人がいないわけです。お金で解決するとしたら、莫大な資金を投入しなければならないでしょう。いずれにせよ、かなりの長期戦が予想されますし、実際の効果を感じることができるのか、それも心もとない限りです。
あと、堰堤・砂防ダムは有効な減災効果をもったそうです。これがなかったら、被害はもっとはげしいものになっただろう、と村長は仰っていました。しかし、写真をみると、既設の堰堤はすでにすべて土砂で埋まってしまっています。となると、次回同じようなことが起こったときには、減災効果が期待できません。これを浚渫しなくてはなりませんが、それも大変な土砂の量ですし、お金も手間も激しくかかるでしょう。そもそも平時は道路の無いようなところばかりですから、重機やトラックを入れて土砂をどけるのは簡単ではないでしょう。
全体として、迅速な避難によって、住民の命は守れることはわかりましたが、災害の原因、或いは減災の方法を伺う限り、なかなか暮らし全体が災害の被害を受けない状態にもってゆくのは難しく感じました。とくに、人口減と高齢化の進むわが国では、命はともかく、暮らしを守ってゆくには、とにかく危険なところから退去し、できるかぎり安全なところに住み替えてゆくしかないのか、と暗澹たる気持ちになりました。