町長日記2018年7月6日(房総信用組合役員来庁)
今日は、房総信用組合の理事長が交代されるということで、白井理事長、三谷新理事長、渡辺支店長のお三方が役場にご挨拶にみえました。三谷徹新理事長は、一宮にお住いでいらっしゃいます。15区にお住いで、わたくしも何度かお目にかかったことがあります。白井前理事長さんとも親しくさせて頂きましたが、一宮の方が地元金融機関の長となられたというのは、改めて大変心強い限りです。
三谷新理事長からは、歓談の中で、駅下の県道沿いの農地は、今後転用の可能性はありますか?とのご質問を頂きました。これについては、町の内外を問わず、多くの方がよく話題にされます。わたくしは、現在のところふたつの点で難しいと考えていることをお話しいたしました。
ひとつは、ここが基盤整備を整然と行った東部土地改良区所属の優良農地であることから、農業振興地域からの除外は難しいことです。農家の皆様の了解をとるのはなかなか難しいでしょう。
もうひとつは、もっと厄介な問題ですが、排水問題があることです。ここはもと一宮川沿いの低湿地で、海抜が低い平坦地です。そこで、内水(堤防で守られた、川の外側の、人の住んでいるところの水)の処理がつねに問題となります。水田であれば、保水力があり、大雨が降っても一定程度ここでためられます。これが住宅や店舗になった場合、降った天水はすべて下水として即座にU字溝に流れ込みます。現在、川沿いには、排水ポンプ場が設置されており、内水が一定程度に達したら、ポンプを回して、一宮川本流に流し込むことになります。
ところが、各排水機場のポンプの口径は、いままでの排水量のレベルに対応する形でしか設定されていません。もし、水田から住宅店舗などへの大規模な転換を行った場合、そこに降った天水をどうやって排水するかが直ちに大きな課題となります。ポンプ場の現状では、排水しきれないので、住宅に浸水被害が生じる可能性がきわめて高くなります。
ポンプを更新して、口径の大きなものにすればよいではないか、との意見もありうるでしょう。その通りですが、ポンプは恐ろしく高価で、更新は至難の業です。しかも、関連の排水機場はひとつではありません。いくつもの排水機場のポンプを換えなくてはなりません。これは、財政状態からいっても事実上不可能事なのです。となると、水田から住宅地への大規模転換は、現実的ではありません。
この事例のように、一見するとスムーズに実現できそうに思えても、よく精査すると意外に困難が伏在している事象はよくあります。現場をよく理解した上で、因果の連鎖を踏まえて正しい政策を立案・実行しなければ、あとで副作用に苦しむことになります。わたくしとしては、今後も、事態をよく見極めつつ、的確な政策立案につとめてゆきたいと思います。