町長日記 平成29年2月1日(山武市長 椎名千収氏と会食)
山武市長 椎名千収氏と会食
山武市長の椎名千収氏とお目にかかりました。夕食をとりながら色々なことをお話しましたが、特に防災に関するお話が印象的でした。
○東日本大震災から学んだ三つのこと
2011年3月11日の大地震で、東日本太平洋側を津波が襲ったときの経験をお話し頂きましたが、特に忘れられないこととして三つのことをお話しくださいました。
① 災害に関わる公益性のある情報は、即座に地方自治体も共有できるように!
第一は、災害発生後、電気がつながらず、テレビも見えない中で、実際の津波がどうなっているのかわからず、大変困られたそうです。実は、後でわかったそうですが、千葉県警のヘリコプターが、海上の津波の様子を克明な映像で本部に送っていたといいます。椎名市長は、今後はそうした公益性のある映像は、直ちに地元自治体も共有でき、避難指示発令のための検討等に供されるようにすべきだと考え、関係部署にそれを要望されたそうです。
② 行政防災無線はラジオで受信できるようにして、ドライバーにも情報を発信
第二は、行政防災無線は、ラジオでも受信できるようにして、ドライバーにも確実にメッセージを伝わるようにすべきだ、というのです。災害発生時、防災無線では、津浪警報ほかの情報にもとづき、「津浪の危険があります。直ちに避難してください」といった類の放送を致します。それを、ドライバーの方も聞けるようにすべきだというのです。確かに、東日本大震災時のビデオなどを見ると、津浪の襲来について認識をもたずに危険な方向に運行し続ける自動車が見られました。ドライバーの方々にも、差し迫った災害の危険に対する情報を共有して、確実に安全な方向へ避難できるように、情報提供の手立てを講ずる必要があると仰るのです。
この二つの問題は、災害発生時という緊迫した事態においては、正確な情報共有がなにより重要だということで、私は大変共感いたしました。
③ 災害発生時には、責任者はドンと構えて落ち着いて行動すべし
第三は、災害のために五里霧中になった時には、責任者は、ドンと構えて、じたばたしないこと、ということでした。何もわからない状況の中で、不安であたふたしてしまいがちが、的確にできることは何もないとすれば、リーダーはむしろ落ち着いて、自らの精神の安定につとめるべきだということです。確かに、見通しがきかない状態の中では、誰もが不安になるでしょう。そういうとき、リーダーがいらいらしていれば、みんなの不安が増大するだけです。そうしたときこそ、むしろしっかりした気持ちの安定感を維持することが、まわりのみんなも安心することにつながると思います。もちろん、その一方で、寄り添ってほしい、という住民の皆さんの気持ちに対しては、精一杯呼応することが必要で、それが最終的にもっとも大事なところだ、と椎名市長は仰っておられました。この一連の心構えに関するお話も、激甚な非常事態に実際に身をおいて奮闘された方のお話として、深い共感を抱かせて頂きました。
災害は、明日はわが身に降りかかる可能性のあるものです。次は私が当事者になるかもしれません。その折に、決して対応を誤らないように、出来る限りみなさまの安全をお守りできるリーダーであるように、との覚悟を、改めて決める契機となる、意義深いお話でした。