町長日記2020年11月16日(一宮川の流域治水に関する勉強会に出席)

   今日は、一宮川の流域治水に関する勉強会が茂原で開かれ、わたくしも参加しました。講師は、東京工業大学の名誉教授の石川忠晴氏でしたが、お話はたいへんクリアーでわかりやすく、説得力がありました。

 要点は以下の如くです。まず、近代以前は、日本での河川管理は、ハードでの技術的限界もあり、一定の氾濫が定期的に起こることを前提になされていた。これを現在の言葉で「流域治水」と呼ぶ。近代以降、特に戦後は、科学技術のレベルが上がり、河道に沿った部分に手厚いハード施策を行い、徹底して氾濫を起こさない方針での対策をとってきた。これを「河道治水」と呼ぶ。ところがここに、近年、災害の激甚化が起こって、従来の河道治水で氾濫を絶対起こさないということが難しくなってきた。そこで、いかんともしがたい中での選択肢として、一定程度の氾濫を前提として治水を考える流域治水の考え方が再度クローズアップされつつある、という論旨でした。美麗なパワーポイントを使っての先生の老練の発表技量に、すっかり説得されました。

 発表後の質疑応答で、水田への氾濫となると、農業者の犠牲が生じることになるのですが、どうしましょうか、という意見がでました。わたくしが考えるには、そうした場合、自治体全体で農業者への補償金などを設定する必要があると思います。それでなければ、農業者の方だけが犠牲になることになり、広範な賛同を得ることは難しいと思います。

 いずれにせよ、時代とともに治水の考え方も変化してゆかねばならない、ということで、深く納得しつつ感慨を催したひとときでした。