町長日記2018年1月28日(新春初詣ミニ吟行会に参加)

 千葉県現代俳句協会の皆さま総勢30名が一宮に吟行でみえました。わたくしは9時40分に駅でお出迎えをして、一日ご一緒いたしました。午前中は、玉前神社・観明寺・一宮城址・加納公紀徳碑・加納公墓地・寿屋本家と散策して景色と史跡を楽しみ、お昼となりました。史跡めぐりでは、わたくしからもお話しを差し上げましたが、玉前神社の禰宜さん、観明寺のご住職からも、神社・お寺について深いお話しを頂けました。事前に、9区の斎藤隆雄さんがセッティングをしておいて下さったものです。この間、皆さま俳句をひねって、お昼過ぎに投句となりました。

 わたくしは、2句用意しておくように、ということで、事前に用意してありましたが、即事で詠んだものも必要に感じましたので、急いで作って1句差し替えました。わたくしの作品は、元来用意してあったものは以下のとおりです。

 時雨して今日もひとりの雨戸閉ず

 臥龍とて期することあり寝正月

 この2句です。1句目は、家族が外国にいっており、ひとりで暮らしていたとき、冬のさびしい雨の日に詠んだものです。もう1句は、今回の吟行のために、今朝寝床で作った句です。吟行での句には、ちょっとめでたさが必要な気がしたので、さびしくわびしい1句目を急いで差し替えて、

 鐘の音の及ぶばかりや里の春

 を、「臥龍とて」と合わせて投句いたしました。この句は、観明寺で、細野ご住職のご厚意で鐘をつかせていただいたのですが、その折の雰囲気を即事ということで、当座に詠んだものです。

 その後、参加者の皆さん2句7づつ投句し、31名×2ですから、62句が出そろいました。すべて無記名で句のみが記してあります。そうしたら、参加者は一覧表の中から各自4句づつ、自分の気に入った句を選ぶこととなります。もちろん、自分の句は選ばないのが作法です。

 わたくしはゲストの特別選者ということで、会長さん・二人の副会長さんとならんで、4句選んだほかに、特選句を1句選ぶ権利を与えられました。

 そして、みなで投票したあと、おひとりおひとりがどの句を選んだかを「披講」といって、発表してゆきます。そして、1句1句に何点入るのかを競うのです。

 わたくしの「鐘の音の」の句は、6名の方から選んで頂けました。多い方です。また、「臥龍とて」の句は、1名の方に選ばれ、副会長のおひとりに特選句に選んでいただきました。そして、全部を通算して点数の多い方から優勝なのですが、わたくしはなんと3位に入賞することになりました。

 俳句については、わたくしはかつて高校生の頃に作ったことがあるので、少々の心得はあるものの、「現代俳句協会」で研鑽を積んでおられる先輩方に伍して果たしていかん、と正直疑問であったのです。ところが、結果的に予想外の好成績となりました。会長さん・副会長さんには、「町長さんは大変俳句がうまい、今後も続けてください」といわれました。もちろんリップサービスでしょうが、今後は今までよりも少し真剣に取り組みたいと思います。ただ、一方で会長さんが、「標準的にうまくなると、破天荒な展開がなくなり、面白くなくなる。ジャズも同じです」と仰っていたのは、自分にも当てはまる部分があると思って気を引き締めました。

 さて、わたくしが、特選を差し上げたのは、「いぬまきの幹のうねりや日脚伸ぶ」という句です。玉前神社で見学した巨大ないぬまきの木の幹のうねった肌理(きめ)に注目して、それを「うねり」と表現し、そのやや不気味な動きある感触を、最後の「日脚伸ぶ」ののどかな風情で収めてほっとさせる、そのすぐれた技量に感嘆したものです。講評でそうした説明を差し上げたところ、詳しくてよい講評だと皆さまに気に入って頂けました。

 わたくしが特選に選んだ方には、わたくしから色紙を差し上げるようにと、事前にご要望を頂いておりました。そこで、王陽明の高弟のひとり、鄒守益(東郭)の文集に出ていたことば、「改過必力、遷善必勇」という言葉を書いて差し上げました。「過ちを改むるには必ずつとめ、善に遷るには必ず勇にす」と読みます。わたくしのモットーでもあります。この色紙を「いぬまきの」の句をおつくりになったご婦人にさしあげました。

 色紙には毛筆で書きますが、わたくしは小学校以来毛筆の練習をしていないので、正直言って下手です。はずかしいので、これから毎日練習して、今生のうちに見苦しくないレベルに至りたいと思います。

 なお、この吟行の随行依頼をいただき、かしこまりました、とお答えしたのち、地元8区の1の皆さまの総会出席依頼を頂きました。地元の集まりはもっとも重要なのですが、9区小池の藤野さんを通じて、随分前からご要請を頂いていたこと、外から町にお見えになる方々であることから、現代俳句協会の皆さまの会にお伺いいたしました。わたくしが参加することで、一宮の印象を強くお持ちいただき、次回またお出かけいただけるモメントを作りたいと思ったものです。石川区長さんはじめ8区の1の皆さまには失礼致しました。妻一人の出席で、わたくしは欠席いたしましたこと、心よりお詫び申し上げます。次回には必ず出席させて頂きます。