町長日記 12月19日(一宮川の護岸がかさ上げと釣場の保護)

スケジュール

   9:30 農産物加工品打ち合わせ

 11:00-30 16区桑島民生委員ほか来訪

 13:15-13:45 ○○医院往訪(東口説明)

 14:00-16:00 NSAとサーフィン業組合打ち合わせ

 16:30-17:15 顧問弁護士との面談

 

 今日は、16区の民生委員の桑島さんと、釣具店の方々がみえました。津波対策で一宮川の護岸がかさ上げされます。その折に、釣がなるべくできるように配慮してほしい、とのお話でした。わたくしは、現在の一宮川の利用状況からすると、釣が最も日常的な活動であり、これは保護すべき文化であると考えるので、そのむね努力してほしいと、長生土木にお願いすることにいたしました。

 以前、2017年5月9日の町長日記にも記したことですが、かつて、一宮川の両岸には、貴顕の士の別荘が数多く立ち並んでいました。また、貸し別荘などもありました。これは、一宮川の利用がきわめて魅力的だったことによるものと思われます。水浴場をはじめ、釣、投網、夕涼みの舟遊びなどが、幅広く、また多くのかたに楽しまれていました。こうした光景は、今に伝わる一宮の観光絵葉書がつぶさに伝えてくれています。かつて、川は決して人と切り離された存在ではありませんでした。まず、輸送の面で川筋の舟運を使うのは、もっとも簡便に思い荷物を運ぶ手段でした。従って、人員も物資も、川で輸送することが、広く見られたのです。また、漁撈の営みも広く行われていました。一宮川の献上シジミは有名でした。加納公が、幕府将軍家に献上していたのだそうです。

 現在は、輸送手段は鉄道から更に自動車に変わりました。また、排水による汚染の影響もあり、川は漁撈の場ではなくなりつつあります。更に最近では、洪水・津波の際の危険がクローズアップされ、日常的な川の利用を犠牲にしても、防災上安全な高いコンクリートの堤防を築くこととなってきています。今回も、2011年の3月の津波の経験から、河岸のかさ上げ工事となったものです。こうした中で、日常的な川の利用は衰退してゆくのみです。わたくしはこれは大変残念なことだと考えますが、防災と両立させるということからすれば、いかんともしがたい部分があります。最後は川は、隅田川の下流のように、巨大U字溝となってしまうのでしょう。かなしいことですが、狭い日本の川で防災を確保しようとすると、しかたがありません。せめて、可能な限り釣ができる手立ては講じておきたいと思った次第です。