町長日記 平成29年1月20日(第12回一宮・岬梨組合総会に出席)
第12回一宮・岬梨組合総会に出席
【一宮・岬の梨は県下最高の品質・全国的にも最高レベル】
会議では、表彰と決算案・予算案の審議承認が行われ、新役員も決まりましたが、もっとも印象的だったのは、夷隅農業事務所改良普及課の田上和俊課長のご挨拶の中で、「一宮・岬の梨は、県下で印旛・東葛を凌ぐ最高の品質を誇るものだ」と語られたことでした。確かに個人的には、一宮・岬の梨は食べると美味しく、最高の品質のように感じられますが、県下の他の産地に比しても上をゆくものだということは、確かめたことがありませんでした。後で田上氏に伺ったところ、全国的にも最高レベルだということでした。地元の首長として嬉しい限りです。
【深刻な生産者の高齢化・そして樹木の高齢化】
しかし、総会の中では、ショッキングなお話も伺いました。一宮1軒、岬6軒の方が組合を去られたというのです。また、両支部で婦人部が解散したとのことなのです。これは、明らかに後継者問題などとからむ、生産者の高齢化によるものと思われます。
JAが、組合員を対象に将来予測のために行った調査結果でも、人員と樹木の高齢化が明らかです。生産者では、60代が58名中19名、70代が58名中13名だそうです。樹木の方は、30年超のものがハウス幸水で49%、露地幸水で38%もあります。今後の予想として、現在58戸の市場出荷者は、6-10年後には44戸に減少、栽培面積は現在の4806aから4069aに減少することが予測されています。また幸水出荷量は10kgケースが、現在4.6万ケースから1-5年後には3.76万ケース、6-10年後には2.46万ケースまで減少することが予測されています。
【生産者数・生産量減少を食い止めるために】
折角の産地なのに、この予測は大変残念です。どうすればこうした減少が阻止できるのか、緊急事態ととらえて取り組んでゆかなければなりません。樹木の老齢化は、計画的植え替えで更新を図ってゆくことができますが、一方での高齢化は、労力不足とも連動しているもので、根本的には若い後継者を確保してゆかなければ解決できず、難度が高くなります。
おととい、東京農業大学のOBで理事も勤められた方から、興味深いお話しを伺いました。これは、ひょっとするとこの問題を打開する一助になるかもしれません。農大には、学生が、白井の梨農家に住み込みで研修にゆくというプロジェクトがあり、すでに長年の実績を積んでいるそうです。その中からは、新規参入者として梨栽培農家となったものもあるそうです。そして、この研修プロジェクトを、一宮・岬方面へ振り向けてもらったらいいのではないかとアドバイスを頂いたのです。
確かに、若い皆さんが、梨の栽培関連の作業に泊り込みで参加してもらえれば、労力不足が解消できるばかりでなく、さまざまな縁が生まれ、新しい発想なども出てくる源泉となるでしょう。この構想は是非実現できれば、と思います。
上記の夷隅農業事務所・田上課長のお話では、一宮の梨農家は、現状維持的志向が強いのに対し、白井などの方は拡大意欲が強い、とのことでした。これは、他の方のお話では、一宮・岬の農家の方が、「職人的気質を強くもっている」からではないか、とのことでした。いずれにせよ、地元の特性特徴を正しく把握して、的確に経営安定・後継者確保の戦略をとってゆかなければなりません。大変に勉強になった半日でした。